出版社内容情報
人間は何を原因として崇高や美を感じるのか。古典主義を批判し新しい美学カテゴリーを提示する。
内容説明
人間は何を原因として崇高と美を感じるのだろうか。建物、植物、動物、音、色彩…古典主義を批判しつつ、現代へと連なる新しい美学カテゴリーを提示する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
35
なかなか読み取れない訳文で、細かく章立てされて各章に見出しがついていなければ全く歯が立たなかったことでしょう。目次を読む作業が読解に直結しました。それでも美学の議論で有効なキーワードを抽出して読まなければ、冒頭の何十ページかも何が議論されているかは分かりません。ようやくそれらしき語が出てくるのは55ページの「模倣」で、それと本書のタイトルにある「美」「崇高」を中心にして読んでいきました。ある対象を写し取るために「模倣」が有効で、その表現方法として引用が頻出している詩がある。「美」は分かり易いが、では「崇高2021/06/23
またの名
13
滑らかとかゴツゴツなど計測可能な質について合意できても美的良し悪しになると判断が割れ趣味の悪さを格付けチェックされる、芸術領域の考察。望ましくないはずの苦痛が変形され安全地帯から眺めればゾクッと悦びをもたらす、陰鬱な黒や闇の色彩と感情で作られた現象を、崇高と呼ぶ(中二病的趣味)。それに対して、 不完全で華奢な愛らしい対象の与える健やかな感覚を美に分類。危険な脅威や何者も敵わない神の全能がもつ圧倒的な力能は崇高だが「これらの危険な要素が取り除かれた途端、崇高は跡形もなく消失して、立ち処に侮蔑の対象へ変ずる」2021/05/02
ぽてと
2
原文に忠実な訳文で、格調高いが故に読みにくい。現代から見ればバークの論証に問題はあるのは明らかではあるが、人間が崇高さや美を感じることができる限り、本書は参照され続けるだろう。バークが本書で称賛するのは、苦や恐怖を原因として生じる崇高であり、快と対応する美はどちらかと言えば否定的に扱われる。美は理性とも結び付けられるがために、フランス革命を全否定したバークがそのように美を捉えるのは必然だろう。2016/05/14
ブース
2
現代に読むと説が弱いかなと。科学的エビデンスが溢れていますからね、昨今は。 2016/03/03
あかふく
2
1757年に出版された美学書。ウィリアム・ホガース『美の分析』と同年に出、主に英米圏の美意識に重大な影響を与えているようだ、というのが高山宏の見解。つまりピクチャレスク美学はこの本で述べられる「崇高」に基づいているのであって、それは「美」という滑らかさに対する快ではなく、ごつごつした、恐怖を感じるような、そういったものに感じる喜悦の感覚に基づくものなのである。2012/05/22